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あと施工アンカーについて(第58号)

前回はあと施工アンカーの中で金属拡張アンカーについてご紹介をいたしました。今回は、サンコーテクノ製あと施工アンカーで「その他のアンカー類」として分類されているものをご紹介いたします(表2)。

表2 サンコーテクノ製アンカー(その他のアンカー類)
No. 名称 取付部 施工方法 形状 施工図
1 エーエルシーアンカーAX おねじ ねじ込み式
2 めねじ ねじ込み式
3 オールプラグボルトAS めねじ ねじ込み式
4 オールプラグMG めねじ ねじ込み式
5 オールプラグ
CM,MIL
めねじ ねじ込み式
6 エーエルシアンカーAZ めねじ 打込み式
7 オールプラグSPS 付属のピン 打込み式

 

エーエルシーアンカーAX:
ALCパネルに使用するアンカーです。おねじタイプとめねじタイプがあります。所定の径、深さの穴をあけ、その穴にアンカーを打込みます。おねじタイプは付属のナットを、めねじタイプは別に用意した締付用ボルトを締込むと、本体のスリーブ2ヶ所が開き、ダブル拡張(写真1:ダブル拡張を試してみました)で強力にパネルに固着します(図2)。

写真1 ダブル拡張の状態(下)

 

図2 エーエルシーアンカーAXの施工方法

 

オールプラグボルトAS:
コンクリートやブロックに使用します。あけた穴にプラグを挿入し付属のボルトを引き上げて仮固定後、ボルトを取り外します。その後対象物をボルトで締付けていき固定します。スリーブの材質は以前は鉛製でしたが、近年亜鉛合金ダイカスト製(コーンも含め)に変更されています。
オールプラグMG:
コンクリート、ALCパネル等に使用します。ナイロン製で耐食性に優れています。あけた穴にプラグを差込み、対象物を木ねじで固定します。
オールプラグCM、MIL:
コンクリートに使用します。ポリエチレン製で耐食性に優れています。取付方法はオールプラグMGと同様です。CMタイプは本体の色でプラグサイズの判別ができますので便利です。
エーエルシーアンカーAZ:
ナイロン製で、ALCパネルに使用します。あけた穴に挿入し、内部の樹脂部品を専用のハンドホルダー(ナイロン製は同梱品です)で打込むだけの簡単施工です。
オールプラグSPS:
ナイロン製で、コンクリートに使用します。打込み用のねじ状ピンがセットされています。あけた穴に差込んで、このピンをハンマーで打つだけで施工完了です。取り外すときはドライバーでピンを抜くことができます。
最後に表2のアンカーの一部をピックアップして最大引張荷重を表3で比較してみました。最大引張荷重はアンカーの種類、母材の違い、アンカー材質の違い等で大きく変わり、アンカー選定時には重要な値です。
まずはエーエルシーアンカー(AX-665)とオールプラグ(MG-10x50P)について母材をALC、使用するねじの外径をほぼ同じもので比較します。結果はAX-665が1.9kNと最大引張荷重が大きくなっています。これはAX-665の拡張する金属の板が母材に食い込んで固定されるため、樹脂(MG-10x50P)よりも大きな引張荷重に耐えていると考えられます。
次にオールプラグボルト(AS-640)とオールプラグ(MG-10x50P)について、母材をコンクリートで比較すると、AS-640が7.7kNと圧倒的に最大引張荷重が大きく、AS-640の金属の拡張部が樹脂よりも強力に母材のコンクリートに固着するためと考えられます。
さらにオールプラグ(MG-10x50P)で母材がコンクリートとALCについて比較すると、コンクリートに施工した方が2.9kNで最大引張荷重が大きいことが分かります。やはり母材自体の強度がアンカーの固着力に影響しているのでしょう。

表3 アンカーの最大引張強度比較(サンコーテクノ様カタログより抜粋)
母材 種類 拡張部
材質
最大引張荷重
(kN)※2
条件
ねじの呼び アンカー埋込み長さ 固定部
ALCパネル エーエルシーアンカーAX-665 金属 1.9 M6 54mm ALC100mmパネル
圧縮強度
4N/mm2
オールプラグ
MG-10x50P
樹脂 1.2 木ネジ
6.2
50mm ALCパネル
圧縮強度
4N/mm2
コンクリート オールプラグボルトAS-640 金属 7.7 M6 28mm コンクリート強度
21N/mm2
オールプラグ
MG-10x50P
樹脂 2.9 木ネジ
6.2
50mm コンクリート強度
21N/mm2

以上の比較から考えると、アンカー材質を金属、母材をコンクリートにすることで、より大きな引張荷重が得られそうですが、現実には母材を選べない状況もあり、アンカーの選定は、引張荷重を重視するのか、引張荷重はそれほど必要ないが施工性を重視するか等、慎重に検討する必要があります。サンコーテクノ様カタログによると最大引張荷重を「これ以上はアンカーに期待できない終局状態の強度」と定義しています。今回ご紹介の「その他のアンカー類」では、「用途に応じた評価検討を行った場合以外は、許容荷重は最大引張荷重の5分の1を安全率の目安」として考えるようです。誤った設計や施工方法は大変危険ですので、アンカーの特性をよく理解した上で設計、使用する必要があります。

※2 1kN≒102kgf
※3 図2、表2の図、写真はすべてサンコーテクノ㈱様のカタログより抜粋しました。
※4 設計時はメーカーカタログを参照してください。

 

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