今回はねじの等級についてお話したいと思います。
等級とはねじの寸法の仕上がり度合いを示すものです。
新JISでは等級を6gとか6Hという表し方をします。一方、旧JISではねじの等級は1級・2級・3級という表し方をしていました。旧JISの等級と新JISによる等級の対応を示したのが表1です。両者の公差は若干異なっており、完全に一致しておりません。
旧JISの 等級 |
新JISで規定する等級 | |
めねじ | おねじ | |
1級 | 4H(M1.4以下) 5H(M1.6以上) |
4h |
2級 | 5H(M1.4以下) 6H(M1.6以上) |
6h(M1.4以下) 6g(M1.6以上) |
3級 | 7H | 8g |
例えばメートル並目ねじのおねじM10を旧JISの1級、2級、3級の有効径の公差を示したのが表2、新JISの4h、6g、8gの有効径の公差を示したのが表3です。これを見ても実際に公差に差があるのが分かります。
max | min | |
1級 | 9.026 | 8.946 |
2級 | 8.986 | 8.866 |
3級 | 8.986 | 8.816 |
max | min | |
4h | 9.026 | 8.941 |
6g | 8.994 | 8.862 |
8g | 8.994 | 8.782 |
従って図面で6gの公差が指定されているときには表3の新JISの公差でねじを切る必要があります。表1に照らし合わせて「6g」だから「2級」相当と判断してねじを切ることはトラブルの元となります。
こういったことに対応するためにねじゲージと呼ばれるゲージがあり必要に応じたゲージを使い検査、もしくは加工する必要性があります。
ちなみにゲージを表す記号はJIS B 0251によると表4のようになります。しかし各メーカーによって表記方法が異なる点もあるので注意してください。
今回述べたのはほんの一部分にすぎません。詳細は店員までお尋ねください。なにかアドバイスできると思います。
検査されるねじ | 検査される箇所 | ねじ用限界ゲージの種類 | ゲージ記号(1) |
おねじ | 有効径 | 固定式通り側ねじリングゲージ | GR |
調整式通り側ねじリングゲージ | - | ||
通り側ねじ挟みゲージ | - | ||
固定式止り側ねじリングゲージ | NR | ||
調整式止り側ねじリングゲージ | - | ||
止り側ねじ挟みゲージ | - | ||
外径 | プレーン通り側リングゲージ | PR(2) | |
プレーン通り側挟みゲージ | PC(2) | ||
プレーン止り側リングゲージ | PR(2) | ||
プレーン止り側挟みゲージ | PC(2) | ||
めねじ | 有効径 | 通り側ねじプラグゲージ | GP |
止り側ねじプラグゲージ | NP | ||
内径 | プレーン通り側プラグゲージ | PP(2) | |
プレーン止り側プラグゲージ | PP(2) |
注(1)ゲージ記号はISO1502に規定されていないが、使用の便を考え従来か ら使われているものを使用する。
(2)通り側と止り側とが別々になっている場合は、ゲージ記号の後に”通” 及び”止”の文字を付ける。例 PP通、PP止