タップはご存知のように、めねじを切るための刃物です。以前にも紹介しましたが、よく使用されるものにハンドタップ(図1)、スパイラルタップ(図2)、ポイントタップ(図3)があります。
図1 ハンドタップ | 図2 スパイラルタップ | 図3 ポイントタップ |
今回はこれらのタップについてあまり語られていない「タップの等級」をご紹介します。(以下の説明ではヤマワ製のタップについて説明します。)
タップの印字部を見ると、P1,P2,P3等の文字が書かれています。これはタップの等級といいます。 図4はM4~M12並目めねじについて、有効径基準寸法と各等級の公差域との関係を示しています。図4で示すように、P1よりもP4の方がめねじの有効径が大きいといえます(公差は20μmで一定です)。
図4 ヤマワ製タップの等級(Bタイプ) |
市販されているタップは「流通品」の等級が適用されており、表1のようにタップの種類、サイズにより等級が異なります。
そのためスパイラルタップでM10のねじを切ったところねじゲージが通らず、ハンドタップで再度ねじをさらえるとねじゲージが通るというようなことが起こるわけです。
ハンドタップ:HT | スパイラルタップ:SP | ポイントタップ:PO | |
M4×0.7 | P2 | P2 | P2 |
M5×0.8 | P3 | P2 | P2 |
M6×1.0 | P2 | P2 | P2 |
M8×1.25 | P3 | P2 | P3 |
M10×1.5 | P3 | P2 | P3 |
M12×1.75 | P3 | P2 | P4 |
購入時には「流通品」以外に等級を指定することもできますが、受注生産の場合があります。
図5は旧JISである「JIS2級」と現行JISの「6H」(旧JISの2級相当)のそれぞれのめねじの寸法許容差と、ヤマワ製タップ「流通品」の公差域を重ねて示したものです。市販のタップ公差域が、メートル並目ねじの寸法許容差に対しどの位置にあるかがよく理解できると思います。
図5 メートル並目めねじの公差とヤマワ製タップ(流通品)の公差 (㈱彌満和製作所様の技術資料を抜粋) |