歯付き座金(写真1)は機械組立ての現場ではあまり見ることがなく、ゆるみ止めに使用するのは分かっているのですが、実際にどのようなところに使われているか案外知られていません。
本紙の記事の「往年の機関区を再現する」で列車制御用のコントロールボックスを組み立てているときに、ちょうどよい事例がありましたので紹介いたします。
コントロールボックスでは線路のポイント切り替えや、列車の前進後進切り替え用にトグルスイッチを使用しています。トグルスイッチは写真2のように爪付座金、歯付座金、管用ナットが付属していますが、従来、私の場合は付属品の座金は使用せずに管用ナットのみで、パネルに取付けていました。
写真1 内歯付座金 | 写真2 トグルスイッチ |
スイッチの取り付けは、スイッチをパネルの裏側から穴に差込み、パネルの表側よりナットで締付けます。このとき本体部分が回転しないようにパネルの裏から手を回してスイッチ本体を指で支え、表側からナットを締めるのですが、指で支えきれず本体が回転してしまったり、強く締めすぎるとスイッチのケースが壊れる場合もあり、結構厄介な作業です。
図2 スイッチのパネルへの取り付け |
今回はスイッチの数も多かったので、物は試しで付属品の内歯付座金を図2のように挿入して締付けました。ナットがある程度締まるまでスイッチ本体を支え、その後は表側からスパナで軽くナットを締めつけるだけで固定できました。
内歯付座金は、座面突起の引っ掛かりとクッションの働きで緩み止めの役目を果たしているようです。
小さな部品でもそれぞれの役目があるからこそ、長年使われ続けるのだと思います。