コンクリートにねじ止めするときに、プラグを使用する場合には下穴径が結構大きくなってしまいます。こんなときには、コンクリート用のねじを使用すると下穴が小径で済みます(※1)。
コンクリート用のねじは各社から市販されています。サンコーテクノのPレスアンカー(図1)、ヤマヒロのビスコン(図2)などはよく目にするものです。
(※1)例えばサンコーテクノ製の場合、下記のようになります。
オールプラグMG-6X30P:下穴径はΦ6.0、
PレスアンカーPFV-425(外径Φ4):下穴径はΦ3.4
図1 Pレスアンカー | 図2 ビスコン |
ところで、コンクリート用ねじの特徴は2条ねじで、ねじのつる巻線(ねじ山)が2本あります。さらに、この2本のねじ山のうち一方は山が高く、もう一方は山が低くなっています。この鋭利な高い方のねじ山で、コンクリートをしっかりと保持し、低い方のねじ山で安定したねじ込みをします。
弊社で在庫として販売しているものは主にサンコーテクノ製のPレスアンカーです(表2)。表2に示す通り、頭部形状の種類が豊富で、材質もスチール製(シルバービック処理)とステンレス製(SUS410)がありますので、用途毎に選択が可能です。
シリーズ | 頭部形状 | 呼び径 | 材質 |
PPV | ナベ | 4.0、5.0 | スチール (シルバービック処理) |
PFV | 皿 | 4.0、5.0、6.0 | |
PHV | 六角 | 5.0、6.0 | |
PWV(図4) | ワッシャーヘッド | 4.0 | |
PFV-NC(図5) | 皿小頭 | 4.0 | |
PP-S | ナベ | 4.0、5,0 | SUS410 (スパック処理) |
PF-S | 皿 | 4.0、5.0、6.0 | |
PH-S | 六角 | 6.0 | |
PW-S | ワッシャーヘッド | 4.0 | |
PF-NSC | 皿小頭 | 4.0 | SUSXM7 |
図4 Pレスアンカー PWV |
図5 Pレスアンカー PFV-NC |
図6 ハードエッジドライブHDC |
またサンコーテクノ製でハードエッジドライブというのがあります(表3)。これはJISに準じた頭部形状(Pレスアンカーは頭が若干小さめ)を採用し、施工性、部材との収まりを向上させたものです。こちらもスチール製とステンレス製(SUS410)がありますが、スチールの表面処理がジオメット処理になっています。
さらに、外径が太く最大荷重が大きなハードエッジアンカーHEA(図3、外径10.0,12.0,14.0)というのもあります。
施工上の注意点ですが、下穴の穿孔径と穿孔深さは必ずメーカー指定のサイズにすること、最大荷重を考慮すること、呼び径4.0はドライバー(手動)で締付けること等があります。詳細はお問い合わせください。
図3 ハードエッジアンカー |
シリーズ | 頭部形状 | 呼び径 | 材質 |
HDP | ナベ | 4.0、5.0 | スチール(ジオメット処理) |
HDF | 皿 | 4.0、5.0、6.0 | |
HDH | 六角 | 5.0、6.0 | |
HDW | ワッシャーヘッド | 4.0 | |
HDC(図6) | 薄頭 | 5.0 | |
HDP-S | ナベ | 4.0、5,0 | SUS410 (スパック処理) |
HDF-S | 皿 | 4.0、5.0 | |
HDW-S | ワッシャーヘッド | 4.0 |
余談ではありますが、高いねじ山と低いねじ山を持つねじを、ねじの業界では「ハイロー(※2)」という呼び名が一般的なようです。このハイローはコンクリート用のねじに限定したものではなく、例えば、野地板への吊り子止め用のJPF製「野地ハイロー(吊り子止め専用ねじ)図7」、木下地への波板止め用の「プラ波ハイロー」等その他多くの種類が市販されています。
図7 野地ハイロー |
(※2)日本パワーファスニング(JPF)様のカタログによると「ハイロー」は米国ITW 社の登録商標だそうです。国内での独占的使用権は、日本パワーファスニング株式会社にあるということです。