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はさみ固定式アンカー(第59号)

今回はあと施工アンカーの中で、はさみ固定式のアンカーをご紹介いたします。はさみ固定式アンカーは、主に中空壁やALCパネルに穴を貫通させて締付け施工するものです。以下にサンコーテクノ製をご紹介致します。
ITハンガー:
・中空壁用
用途により数種類あります。ITタイプ(写真2)は一般品、ITW-Sタイプ(写真3)はロールプレート部がダブル構造で保持力アップが可能です。ITUタイプ(写真4)は締付後でも簡単に取外しできるタイプです。施工方法は図5のように壁に所定の径で穴をあけ、ITハンガーを挿入し、ロールプレート部が壁向こう側の中空部に出ると自然に落ちて、それが引っ掛かりとなります。手前のボルトに取付物をナットで固定すると施工完了です。

写真2 ITタイプ 写真3 ITW-Sタイプ 写真4 ITUタイプ

 

図5 ITタイプ施工図

・ALCパネル用
ITL-W(メネジ)タイプ(写真5)、ITL-M(オネジ)タイプ(写真6)があります。パネルの厚みにあわせて全長が長くなっています。図6のように、ロールプレートが中空に出ると自然に回転し引っ掛かります。またスプリングの効果でナット部が前面まで戻るのでボルトを容易に挿入できます。

写真5 ITL-Wタイプ 写真6 ITL-Mタイプ

 

図6 ITL-Wタイプ施工図

アメラハンガー:
・押出成型セメント板(※1)用
ITAタイプ(写真7)があります。ITハンガーよりもロールプレート部が短く、パネル内部でも、無理なく施工ができます(図7)。

写真7 ITAタイプ

 

図7 ITAタイプ施工図

ボードファスナー:
主にベニヤ板、石膏ボードに使用します。ねじ頭の形状が写真8のようにバラエティー豊富です。施工方法はボードに所定の径で穴をあけ、付属の共回り防止治具をセットして穴に差込み、ねじの回転が重くなるまで締付けます。そのあと、ねじを抜き取り、取付物をセットしねじを締付けて施工完了です(図8)。

写真8 ボードファスナー各種

トメラー:
中空壁、ALCパネル、コンクリートに使用できます。樹脂製で写真9のようなものです。施工方法は所定の径で穴をあけ、トメラーをたたみ、穴に挿入し、ピンもしくはねじを差し込んでトメラーを開脚させます。そのあと、取付物をビスで止め施工完了です(図9)。

写真9 トメラー

 

図9 トメラー施工図

 

以上簡単に紹介をしました。はさみ固定式アンカー選定時には許容荷重、壁の板厚の他、中空部の幅も重要な要素ですので、施工前に必ず確認して下さい(穴あけ後に施工不能が判明しては困ります)。最後に各タイプでねじ呼び径や材質の有無がありますので表1にまとめました。参考にしてください。詳細はメーカーカタログをご参照ください。

タイプ ねじ呼び径 材質
ITハンガー IT、IT-Sタイプ M6,8,10,12,W3/8 スチール、ステンレス
ITW-Sタイプ M6,8,10 ステンレスのみ
ITL-W M6,10,W3/8 スチールのみ
ITL-M(ITL-MS) M6,10(M8,10) スチール(ステンレス)
ITU M8 スチールのみ
ITAーV,ITA-VS M10 スチール、ステンレス
ボードファスナー B(BS) M4,5(M4) スチール(ステンレス)
B-S,B-C,B-L,B-O M4 スチールのみ
トメラー TMーA,TM-B,TM-C 3.5~5,3.5~5,4~5 樹脂

※1 セメント、ケイ酸質原料、繊維質原料を使用して、中空の板状に押出成型したのち、オートクレーブ(高温、高圧、多湿)養生したパネル。耐火、耐震、遮音効果があり、ALCパネルと同様、外壁、間仕切りに使用される。
※2 本記事に使用した、図、写真は、すべてサンコーテクノ㈱様のカタログから引用いたしました。

 

 

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