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メートルねじの基準寸法(第61号)

やまりん新聞は平成21年7月1日創刊で、今月号で6年目に突入することになりました。ねじの雑学は、復習を兼ねてもう一度、ねじの基本からスタートしていきたいと思います。
ということで今回、ねじといえば「メートルねじ」が基本ですので、これについて説明いたします。
「メートルねじ」はJIS B 0205で「一般用メートルねじ」として規定されています。JIS B 0205-1では図1のように基準山形が示されています。

図1 一般用メートルねじの基準山形

 

図2 めねじ(左)、おねじ(右)の基準山形

 

図1において、1辺の長さがPの正三角形(細い線)に重なる太い線がおねじ、めねじのねじ山断面形状です。
図1ではおねじとめねじが重なり合って分かりにくいので、分割すると図2のようになります。図1と図2を見比べながら以下にお話を進めていきます。
図2左はめねじです。D、D1、D2はそれぞれ以下のように定義されています。
D:めねじ谷の径の基準寸法(呼び径)
D1:めねじ内径の基準寸法
D2:めねじ有効径の基準寸法
図2右がおねじです。d、d1、d2はそれぞれ以下のように定義されています。
d:おねじ外径の基準寸法(呼び径)
d1:おねじ谷の径の基準寸法
d2:おねじ有効径の基準寸法
Dとd、D1とd1、D2とd2それぞれの値は同じになります。
図1のPは隣り合うねじ山の距離でピッチといいます。
Dとdは呼び径ともいい、ねじの径(太さ)を指定するときに使用します。例えばM10のねじの場合には呼び径は10(mm)になります。
D2とd2は有効径といいます。有効径は正三角形の高さHを2等分した一点鎖線の位置になります。この部分では山と谷の両者断面の幅が等しく、P/2になります。
ねじ山の角度は60°ですがねじ山の先端が尖っているわけではありません。以下おねじで考えると、ねじ山の先端は正三角形の頂点がH/8だけ削られて平らになった形状です。ねじの谷は正三角形の底辺からH/4だけ上がったところになります。
従って、おねじの谷から外径までの距離(ねじ山の高さ)は
H-H/8-H/4=(5/8)H
となります。めねじについては山と谷が逆転しますが、同様に考えられます。
ところで図1のHとPの関係は数式で表現できます。中学か高校の数学で習ったと思いますが、正三角形の底辺を1とすると高さは√3/2となりますので、
H=(√3/2)P=0.866025404P
よって
(5/8)H=0.541265877P、  (3/8)H=0.324759526P
H/4=0.216506351P、   H/8=0.108253175P
となります。この値を使用すると、D、D1、D2、d、d1、d2は以下のように計算できます。(例えばd2はおねじ外径dから(3/8)Hの2倍を引いた長さ)
D2=D-2×(3/8)H=D-0.6495P
D1=D-2×(5/8)H=D-1.0825P
d2=d-2×(3/8)H=d-0.6495P
d1=d-2×(5/8)H=d-1.0825P
つまり、呼び径とねじのピッチPが分かれば、図1の各部基準寸法を計算で求めることができます。参考のためメートル並目ねじの各部基準寸法を一例として表1に示します。
以上、メートルねじの基準寸法について説明いたしました。ここで重要なポイントですが、仮に基準寸法通りのおねじとめねじを製作したとしてもその両者をはめることはできません。ねじがはまるためにはおねじとめねじの接する部分に隙間が必要になる一方で、隙間が大きすぎるとガタガタになり強度不足となります。従ってこの隙間を一定範囲にするためにおねじとめねじの寸法に公差を設定する必要があります。公差については、JIS B 0209で規定されています。これについては、次号以降で説明します。

表1 一般用メートルねじ基準寸法JIS B 0205-4抜粋
呼び径=おねじ外径d(mm) ピッチP(mm) 有効径D2,d2
(mm)
めねじ内径D1
(mm)
10 1.5 9.026 8.376
12 1.75 10.863 10.106
16 2 14.701 13.835

 

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