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規格違いのねじについて(第65号)

手元に1972年版JISハンドブックがありますので、たまに眺めています。さてこの時代にウィットねじはJISでどのような扱いをされていたのか気になり、ハンドブックで調べてみました。すると、末尾の付録に「ウイットネジ」の記述がありました。コメントには「このねじはJIS B 0206-1965によったものである。」という記述があります。同ハンドブックにはJIS B 0206-1968として、ユニファイ並目ねじの規定があり、1965年から1968年のいずれかのタイミングでJIS B 0206が「ウイット」から「ユニファイ」に置き換わったようです。

表1 ウィットねじからユニファイねじへの切り替わり
規格 1965年 1968年
JIS B 0206 ウイット並目ネジ ユニファイ並目ねじ
JIS B 0208 ウイット細目ネジ ユニファイ細目ねじ
JIS B 0210 ウイット並目ネジの寸法許容差および公差 ユニファイ並目ねじの許容限界寸法および公差
JIS B 0212 ウイット細目ネジの寸法許容差および公差 ユニファイ細目ねじの許容限界寸法および公差

ちなみにウィットねじでいまだ現役で使われているものを思い浮かべると、建築、設備関係では天吊りエアコンを吊るためのW3/8の寸切(写真2)などは有名なところでしょうか。また、機械、機器設置等に使用する金属拡張アンカーはウィットの規格品があります。産業機械分野では、たまに古い機械のメンテナンスでウィットのキャップスクリューが使われているようです。

写真2 天吊りエアコンに使われている寸切ボルト

50年前にJISから外されたにもかかわらず、いまだ現役のウィットねじには貫禄さえ感じられます。
ところで、今まさにJISから外されつつある規格があります。それが「六角ボルト」です。現在広く流通している六角ボルト(図3)はJIS B 1180附属書の「ISO4014~4018、ISO8676及びISO8765によらない六角ボルト」に規定されているものです。JISの六角ボルト(図4)は一部で製品化されているようですが、まだ広く普及はしていないようです。

図3 六角ボルトJIS B 1180附属書 図4 六角ボルトJIS B 1180

JIS B 1180の過去の改正を見てみると、2010年版JISハンドブックでは、JIS B 1180-2004で「この附属書1は2009年12月31日限りで廃止する。」と記述され、かつ追補1では附属書廃止の期限を2009年12月31日から2014年12月31日に延期すると記述されています。さらに直近JIS B 1180-2014を見ると、2014年12月31日の廃止期限が削除されています。つまり、現在のところ広く流通している現行の六角ボルトが当面JIS附属書の製品として存続すると考えてよさそうです。
この六角ボルトの事例は規格に関して「国際標準化がよい」のか「現行規格で何が悪い」のかについて考えさせられますね。今後、現行(JIS附属書)六角ボルトの運命はどうなるのでしょうか、ねじ屋としては気になるところです。
話は変わりますが、複数の規格が混在して市場に出回っているのが、六角穴付皿ボルト(図5)です。一般に流通しているものはJIS(表2)、SSS(日本ソケットスクリュー工業共同組合)規格(表3)、及びメーカー独自規格があります。

図5 六角穴付皿ボルト

使用時にこれらの規格を混在させると、皿頭の高さの違いにより、SSS規格品では座繰り(皿もみ)の中に頭が沈むのに、同じ座繰りにJIS規格品を使用すると頭が飛び出す場合があります(写真4)。従って、購入時には規格、メーカー名を指定する等の注意が必要です。

写真3 座繰り(皿もみ)と六角穴付皿ボルト(左:JIS、右:SSS)

 

(a)JIS (b)SSS規格
写真4 六角穴付皿ボルト締結時の頭部(写真3の座繰りにねじを締結し側面から頭部を見たもの)

 

表2 六角穴付き皿ボルトJIS B 1194
ねじの呼び M3 M4 M5 M6 M8
dk 理論寸法 最大 6.72 8.96 11.20 13.44 17.92
実寸法 最小 5.54 7.53 9.43 11.34 15.24
k 最大 1.86 2.48 3.1 3.72 4.96
t 最小 1.1 1.5 1.9 2.2 3

 

表3 六角穴付き皿ボルト SSS規格
ねじの呼び M3 M4 M5 M6 M8
dk 基準寸法 6 8 10 12 16
許容差 -0.3~0 -0.36~0 -0.43~0
k 基準寸法 1.7 2.3 2.8 3.3 4.4
許容差 -0.14~0 -0.18~0
t 基準寸法 1.2 1.8 2.3 2.5 3.5
許容差 -0.25~0 -0.3~0

以上、同じように見えるねじにも様々な規格があることをお話しました。
規格の統一が必要であることは明白ですが、そうは言っても、一旦流通し始めた旧規格品が様々な理由で永く使い続けられるのも理解できます。規格の世界でも本音と建前を使い分ける必要がある?のかも知れません。

 

 

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