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ねじに使われるステンレス鋼(第119号)

近年、ねじに使われる金属材料が進化しています。ねじ業界においても、従来からねじで使われていた表1のようなステンレス鋼以外で、パーフェクトステンレス、スーパーフェライト、二相系ステンレス等という用語を耳にする機会が増えました。そこで今回は、ステンレス鋼についての基礎をまとめてみました。
ステンレス鋼の定義は、JISG0203によると、「クロム含有率を10.5%以上、炭素含有率を1.2%以下とし、耐食性を向上させた合金鋼。常温における組織によってマルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系、オーステナイト・フェライト系及び析出硬化系の5種類に分類される。」となっています。主成分は鉄で約50%以上を占めています。
クロムは大気中で表面に薄い酸化膜(不動態被膜)ができ、この膜のお蔭でこれ以上の酸化が進行するのを阻害します。この性質は、クロムを鉄に添加しても有効に働き、ステンレス鋼の表面に不動態被膜を作ることができます。この被膜が破れても、自己修復機能で、不動態被膜が再生し、ステンレス鋼を錆から守ります。
しかしながら、クロム系ステンレス鋼は、海水や塩素系漂白剤等の塩化物環境では、塩素が不動態被膜に入り込み、局部的に錆(孔食)が発生する場合があります。そこで、クロムニッケル系ステンレス鋼は、クロム以外にニッケルやモリブデンを添加し、ピンポイントで発生した孔食に対して錆の進行を抑制します。これにより、クロムニッケル系ステンレス鋼は優れた耐食性を持つことができます。
近年、ニッケルが高騰しており、いかにして高耐食性を保ちながら、ニッケルの量を減らし、価格を低く抑えるかが重要になります。二相系ステンレス鋼(オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼,SUS329J4L、25Cr-6Ni-3Mo等)はこの一例です。ちなみに二相系ステンレス鋼は別々の二層が存在するのではなく、二相が混合した微細な組織となっています。
析出硬化系はSUS630等のステンレス鋼で、加工後の材料を所定の温度で析出硬化熱処理することにより硬度を上げることができます。
ステンレス鋼は技術開発、製鋼技術の向上で今後もさらなる進化が期待できます。

表1 従来のねじで使用されていたステンレス鋼
系統 クロム系ステンレス鋼 クロムニッケル系ステンレス鋼
マルテンサイト系 フェライト系 オーステナイト系
代表鋼種 SUS420J2 SUS430 SUSXM7(※2)
成分 13%Cr,0.3%C 17%Cr,
C0.08%以下
18%Cr,9%Ni,
3%Cu
特徴 熱処理で硬度が上がる
耐食性が劣る
磁石につく
価格が安い
耐食性がある
加工硬化しやすい
ねじ製品 スプリングピン 小ねじ
六角穴付きボルト,六角ナット
小ねじ
六角穴付きボルト

※2 SUSXM7はSUS304の代替品としてねじの材料でよく使用されている。SUS304は冷間加工性がよくないため、銅を添加して加工しやすくしたもの。耐食性、強度はSUS304と同レベル

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