ドリルねじは、写真1、図1のようにタッピンねじの先端にドリル刃が付いた構造で、自ら下穴をあけた後、ねじ込んでいけるので、下穴をあける必要がなく、工数削減に効果的です。
日本国内で広く流通しているドリルねじは、メーカー独自規格品のようですが、JISで規定されたドリルねじもあります。
「タッピンねじのねじ山をもつドリルねじ」(JIS B 1124)がそれです。タッピンねじのねじ山というのはJIS B 1007(タッピンねじのねじ部)で規定されています(図2、表1)。
写真1 ドリルねじ | 図1 ドリルねじの構造 | 図2 タッピンねじのねじ部 |
ねじの呼び | ST2.9 | ST3.5 | ST4.2 | ST4.8 | ST5.5 | ST6.3 | |
P | 1.1 | 1.3 | 1.4 | 1.6 | 1.8 | 1.8 | |
d1 | 最大 | 2.90 | 3.53 | 4.22 | 4.80 | 5.46 | 6.25 |
最小 | 2.76 | 3.35 | 4.04 | 4.62 | 5.28 | 6.03 | |
d2 | 最大 | 2.18 | 2.64 | 3.10 | 3.58 | 4.17 | 4.88 |
最小 | 2.08 | 2.51 | 2.95 | 3.43 | 3.99 | 4.70 |
JIS B 1007ではタッピンねじの、呼び径をST1.5~ST9.5としています(日本ねじ商業組合連合会のねじ総合カタログによると、STとは「Spaced Threadの略であり、ねじ山の山と山の間に空間のあるタッピンねじに用いられる」とあります。)。
このタッピンねじの呼びのうち、ドリルねじに適用されるのは、ST2.9~ST6.3(ST2.9,ST3.5,ST4.2,ST4.8,ST5.5,ST6.3)です。
日本国内で広く流通している、例えばピアスビスは、呼び3~8(3,3.5,4,5,6,8)で、JIS規格品と比較すると、外径のサイズとねじピッチが異なります。
日本国内ではケーエム精工がJIS規格のドリルねじを製造しています。JIS規格のドリルねじが必要な物件等で使用することができます。
ケーエム精工は「J-DRIVE」というシリーズ名で販売しており、頭部形状は「つば付き六角」「十字穴付きなべ」「十字穴付き皿」「十字穴付き丸皿」「十字穴付きトランペット」(写真2~6)の計5種で、全サイズ合わせて、390種類あります。これらの中から代表して、つば付き六角頭のサイズ表を表2に掲載します。
鉄だけでなく、ステンレス(SUS410)も製造できます(表2色付き部)。その他形状のサイズ等についてはお問い合わせください。
ちなみに、ケーエム精工㈱は建築用ファスナーの分野で、大手ゼネコンやハウスメーカーの採用実績があります。
写真2 J-DRIVEつば付き六角 | 写真3 J-DRIVE十字穴付きなべ | 写真4 J-DRIVE十字穴付き皿 | 写真5 J-DRIVE十字穴付き丸皿 | 写真6 J-DRIVE十字穴付きトランペット |
呼び/長さ | ST2.9 | ST3.5 | ST4.2 | ST4.8 | 5 | ST5.5 | 6 | ST6.3 |
9.5 | ○ | ○ | ||||||
13 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
16 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
19 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
22 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
25 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
32 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
35 | ||||||||
38 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
41 | ||||||||
45 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
50 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |