タッピンねじの、ねじ部形状・寸法はJIS B 1007で規定されているますが、現在日本国内で流通しているタッピンねじの多くは、JIS B 1007附属書で規定されたものです。今回、規格を再確認するため、JISCサイトでJIS B 1007を参照したところ、この附属書が削除されていることが分かりました。
2010年版のJISハンドブックによると、この附属書を将来削除する旨が予告されていましたので、恐らく、予告通り実行されたのではと思います。
そこで今回、JISと附属書を比較し、両者の形状の違いを見ていきたいと思います。
○タッピンねじのねじ部(旧JIS B 1007附属書)
現在、日本国内の市場で主に流通しているタッピンねじです。下記のように、ねじ部が1種~4種(図1参照)があります。
図1 現在流通しているタッピンねじのねじ部形状 |
・タッピンねじ1種
先端が尖った形状で、ねじのピッチが粗い。ピッチはインチねじと同様、1インチあたりの山数で規定されています。弊社では「タッピンA」と呼びます。
・タッピンねじ2種
先端が尖りではなく、テーパー状になっています。ピッチは1種と同様に粗い。一部を除き、1種よりも1インチあたりの山数が多く(ピッチが細かく)なっています。また、先端に切欠きを設けた「溝付き」があります(図2)。
切欠きがないタイプは、母材を変形させながらねじ込んでいきますが、「溝付き」は、この切欠きで母材にねじを切りながら、ねじ込んでいくことができます。弊社では「タッピンB」と呼び、溝なしが「B-0」、溝付きが「B-1」です。
前記事のピアスビスのピッチはメーカー資料によると、このタッピンネジ2種のピッチでした。
・タッピンねじ3種
先端は2種と同様、尖りではなく、テーパー状になっています。ピッチは2種よりも細かく、メートル並目ねじと同じピッチです。2種と同様、先端に切欠きを設けた「溝付き」があります(図3)。弊社では「タッピンC」と呼び、溝なしが「C-0」、溝付きが「C-1」です。
・タッピンねじ4種
先端が尖った形状でねじのピッチが粗く、1インチあたりの山数は2種と同じです。弊社では、4種の取り扱いはほとんどありません。
図2 タッピンねじB-1(2種溝付き) | 図3 タッピンねじC-1(3種溝付き) |
○タッピンねじのねじ部(JIS B 1007、ISO1478)
ISO1478に基づいて作成されています。C形(Coned end)、F形(Flat end)、R形(Rounded end)の3通りがあります(図4)。ねじ山形状、ピッチ等は3種類とも同じです。
海外のねじサイトを見ると、タッピンねじのC形、F形が市販されているのを見かけましたので、当然のことかと思いますが、日本以外では、この規格が広く流通しているようです。
国内で流通しているタッピンねじは、旧JIS B 1007附属書品が主流であることを述べましたが、最近は輸入品が入ってきている場合があり、ISO1478の規格品や、その他の規格品である可能性もありますので、使用時にはご注意ください。
図4 タッピンねじのねじ部(JIS B 1007) |