現在、ねじのドライバ穴(リセス)は、十字穴が普及しています。その理由として次のようなことが考えられます。
マイナスねじは、ドライバの軸とねじの軸の中心がずれることがあり、このときねじは回しにくく、その点、十字穴の場合には、それぞれの軸同士の中心がずれることなく、ねじをスムーズに回転させることができます。特に機器の量産等で電動ドライバを使う場合には、この十字穴の特長がねじ締めの効率化に大きく貢献します。
私自身、マイナスねじはほとんど普及していないと思っておりましたが、先日テレビ番組で、マイナスねじにもメリットがあり、まだ使用される場面があることを知りました。
その特長は、下記のようなことでした。
1.マイナス溝にゴミが溜まっても、掻き出すことができる。
2.ドライバがなくても硬貨等で代用できる。
3.ドライバをねじ溝に押付けなくても、溝の引っ掛かりで回転させることができる。
その放送以来、ねじ屋の性でしょうか、街中でマイナスねじが使われていないかを探すようになり、先日ようやく発見しました。
それが、JR京都駅で停車中の電車のドアステップ(写真1、写真2)です。乗客が土足で出入りする部分は、砂埃等がたまりやすく、このマイナス溝に砂が溜まっても、掻き出せば美観を保つことができ、なるほどと納得しました。ちなみに、別の電車の同じ部分を見てみたところ、十字穴のねじを使っていました!。納得した後で、ちょっと残念でした!
写真1 電車のドアステップ | 写真2 写真1の拡大図 |