今回は不完全ねじ部についての雑学です。不完全ねじ部とはJIS B 0101によると「ねじの加工工具の面取り部又は食い付き部などによって作られた山形が不完全なねじ部」と規定されています。円筒部とねじ部の境界やねじ先端部が不完全ねじ部に該当します(図2)。全ねじの場合には、首下部も不完全ねじ部に含まれます。
図2 不完全ねじ部 |
ねじを締めるときは、不完全ねじ部に注意しないと「不完全なねじ締め」となります。
例えば、図3aのような使い方をした場合には、首下の不完全ねじ部の影響で、頭部が浮き上がってしまいます。こんなときには、ねじの首下部の周囲に溝(逃げ溝)を作り、不完全ねじ部を除去したり(図3b)、めねじ側入り口を円錐状に面取り(図3c)して、おねじの不完全ねじ部を避けるような工夫をします。
図3 不完全ねじ部の影響とその対策 |
また、座金組み込みねじでは、首下部に通常のねじよりも大きな不完全ねじ部があり、薄板の場合には図4のようにすきまがあき、締結できませんでした。しかしながら、近年では「薄板用」とか「ピタック」という名称の座金組み込みねじが市販されています。これらは不完全ねじ部をできるだけ短くしたり、不完全ねじ部の径を、図3bのように細くして、不完全ねじ部の影響をできるだけ回避し、薄板でも締結できるようにしています。
図4 組み込みねじの不完全ねじ部 |