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ねじ材料と熱処理方法の指定方法について(148号)

ねじの材料と熱処理方法を指定する時の記号についての雑学です。一般的にこれらの記号はJIS等で規定されたものでなく、従来からの慣習で呼ばれている場合が多いです。
例えば、表1のS45C(H)というのはS45Cに調質(H:Heat Treated、熱処理)を行ったもので、S45C(N)はS45Cに焼きならし(N:Normalizing、標準化)を行ったもの、さらに表1にはありませんが、S45C(A)はS45Cを焼きなまし(A:Annealing)したもの、等があります。
S45C(H)は、この他にS45CHとかS45CⒽ(マルH、Hの文字を丸で囲む)と記述する場合があります。また、ピン類はS45Cの調質をS45C-Q(Q:Quenching)という記述をします。このように、同じような熱処理でも、異なった表記方法が使われます。
さて、S45Cの調質材を購入する場合は、鋼材業者にS45CHといえば通用するようですが、同じような考え方で、例えばSCM435の調質材を購入するときにSCM435Hと指定すると、調質されていない鋼材が入荷します。これは、「H」が調質された鋼材という意味ではなく、SCM435Hという名称の鋼材(H鋼(※1))がJIS G 4052で規定されているからです。
SCM435の調質材を入手したい場合はSCM435(H)あるいはSCM435Ⓗ(マルH)のように記述する必要があるようです(※2)が、鋼材業者によっては、指定方法が異なる場合が考えられますので、文面で「調質材」等を書き添えておいた方が間違いがなさそうですね。
ちなみに、前述のSCM435H(H鋼)は結晶粒の大きさ等の工夫により、所定の焼入性(※3)を保証することを主体に作られた鋼で、化学成分については、SCM435より許容範囲が広くなっています。

図2 焼入性曲線(Hカーブ)※4

 

※1 鉄骨に使うH形鋼ではありません。
※2 一概には言えませんので、鋼材業者に指定方法について問い合わせをする必要があります。
※3 太い材料でもより深く焼入れできること。図2参照
※4 参考文献 JIS鉄鋼材料入門 大和久重雄著 大河出版

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