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六角ボルトの規格(JIS本体規格・JIS附属書)について2(第150号)

現在、日本で流通している六角ボルトと六角ナットの規格は1985年のJIS改正で、JIS本体規格(※1)ではなく、JIS附属書品となりましたが、いまだに流通品はJIS本体規格への切り替えが進んでいるとはいえない状況です。今回は前回に引き続き本体規格品と附属書品の具体的な違いと両者の六角ナットサイズの違いを掲載します。前号と合わせてご覧ください。
〇本体規格品と附属書品の違い(※2)
1.六角ボルトと六角ナット
・本体規格の六角ボルト・ナットには部品等級A、B、Cがあります。部品等級は製品の寸法、形状、仕上がり状態によって区分したものです。幾何公差も規定され、より標準化と精度のレベルが上がっています。
・本体規格では六角ボルトの強度区分によって六角ナットとの組み合わせが決まります。(表1参照)

表1 六角ボルトと六角ナットの組み合わせJIS B 1052-2
組み合わせて用いることのできる六角ボルトの最大強度区分 六角ナットの強度区分
(4.6,4.8)5.8 5
6.8 6
8.8 8
9.8 9
10.9 10
12.9 12

・本体規格品と附属書品の寸法が違います(図1、表3及び前号表1を参照)

図1 六角ナットJIS本体規格品の形状

2.六角ナット
・附属書ではナットの呼び高さは、0.8d(1種、2種)ですが、ねじ山のせん断破壊に対する抵抗力を従来より高くするため、本体規格ではナットの高さを大きくしています。高さの違いによってスタイル1(約0.9 D)、スタイル2(約1.0 D)があります。(表3参照)
・六角ナットの本体規格と附属書は強度が違います(表2参照)。附属書の強度区分は4T、5T、6T、8T、10Tと数字にTが付きます。本体規格の強度区分は5、6、8、9、10、12と数字だけになります。同じ数字の比較では本体規格の強度がアップしています。

表2 六角ナットの本体規格と附属書の強度比較例
比較例 強度区分
M16 10 10T
保証荷重試験力(N) 164,900 154,000
ブリネル硬さ 259~336 225~353

 

表3 六角ナットの本体規格と附属書の高さと二面幅の違い
ねじの呼び(D)並目 ナットの高さm 二面幅s
附属書・中 本体規格・スタイル1 本体規格・スタイル2 附属書 本体規格
基準寸法 許容差 最小 最大 最小 最大 基準寸法 基準寸法
M8 6.5 0
-0.58
6.44 6.80 7.14 7.50 13 13
M10 8 8.04 8.40 8.94 9.30 17 16
M12 10 10.37 10.80 11.57 12.00 19 18
(M14) 11 0
-0.70
12.1 12.8 13.4 14.1 22 21
M16 13 14.1 14.8 15.7 16.4 24 24
(M18) 15 15.1 15.8 27 27
M20 16 16.9 18.0 19.0 20.3 30 30
(M22) 18 18.1 19.4 32 34
M24 19 0
-0.84
20.2 21.5 22.6 23.9 36 36
(M27) 22 22.5 23.8 41 41
M30 24 24.3 25.6 27.3 28.6 46 46
(M33) 26 27.4 28.7 50 50
M36 29 29.4 31.0 33.1 34.7 55 55
(M39) 31 0
-1.0
31.8 33.4 60 60

3.六角ボルト
・本体規格の六角ボルトは「強度区分」によって部品等級が決まります。「鋼4.8」の六角ボルトは、附属書では「仕上げ程度」上、中、並の3種類があります。一方、本体規格では「部品等級C」1種類のみになります。同様に、「鋼10.9」の六角ボルトは、本体規格では「部品等級A」1種類のみとなります。

・本体規格の六角ボルトの部品等級A、Bには座面にワッシャーフェイス(前号図1参照)が付き、これは締結する際に、座面と締結物との間に均一な摩擦力を発生させ、適切な軸力を保持するためです。附属書品にはほとんどありません。
・本体規格では、ステンレス鋼六角ボルトにも強度区分が規定されています。強度区分とともに製造者識別記号がボルト頭部上面外周部に刻印され、トレーサビリティが容易になります。附属書では要求されていません。

 

※1 六角ボルト:JIS B 1180、六角ナット:JIS B 1181
※2 ねじ商工連盟の「六角ボルト・ナット附属書品から本体規格品への切り替えガイド」を抜粋しました。

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