組込みねじ(写真14)は平座金やばね座金等が予め組み込まれており、ねじ取付け時に座金を装着する必要がないため、作業効率向上や、座金の装着し忘れがなく便利なねじです。
写真14 (+)アプセット小ねじP=3 M8×15 |
今回は、日頃はあまり意識することはない組込みねじ用の平座金、ばね座金に注目してみたいと思います。
座金組込みねじは、ねじ転造前に座金を挿入し、その後おねじを転造ダイスにより転造することで、ねじ山部が膨らみ座金が抜けなくなる仕組みです。転造前の素材径は表1のように転造素材径が決められていて、ねじの有効径とほぼ同じサイズです。
呼び | 有効径基準寸法 | 素材径、6g(旧JIS2級相当) |
M3 | 2.675 | 2.63-2.60 |
M4 | 3.545 | 3.50-3.45 |
M5 | 4.480 | 4.43-4.38 |
M6 | 5.350 | 5.30-5.24 |
M8 | 7.188 | 7.14-7.08 |
写真15(a)は+アプセット組込みねじの座金を除去したもので、座金組込み部の直径をノギスで測定すると7.1mmでした。これは表1の転造素材径の呼びM8の素材径範囲内に入っていることが分かります。
写真15 (a)M8×15の組込みねじの座金を除去したもの。(b)通常の+アプセット小ねじ |
この座金組込み部は不完全ねじ部で、写真15(b)の通常のねじよりも不完全ねじ部が長いため、相手材の厚みが薄い場合には、この部分が邪魔をして締結できないことがあり、注意が必要です。このような場合には、薄板用組込ねじやピタックという組込みねじをご検討ください。
写真16 組込み用と一般用の座金、呼びM8 |
組込みねじに組み込む座金は、組込みねじ専用の座金が使用され、写真16のように、一般用の座金に比べて内径が小さく作られています。表2は通常のばね座金と組込み用のばね座金のサイズを比較したものです。ねじの呼びがM8では、組込み用座金の内径が7.3mmで、おねじの外径が実測7.9mm(写真15)ですので、座金が抜け落ちないことが分かります。また、組込み用のばね座金の外径は一般用のばね座金よりも小さめになっていますので要注意です。平座金についても一般用と組込み用の平座金があり、外径と厚みは同じで、内径が異なります。
呼び | 一般用ばね座金 | 組込み用ばね座金 | ||||||
内径d | 外径D | 幅(b) | 厚さ(t) | 内径d | 外径D | 幅(b) | 厚さ(t) | |
M3 | 3.1 | 5.9 | 1.1 | 0.7 | 2.68 | 5.20 | 1.1 | 0.7 |
M4 | 4.1 | 7.6 | 1.4 | 1 | 3.6 | 6.75 | 1.4 | 1.0 |
M5 | 5.1 | 9.2 | 1.7 | 1.3 | 4.5 | 8.30 | 1.7 | 1.3 |
M6 | 6.1 | 12.2 | 2.7 | 1.5 | 5.45 | 11.25 | 2.7 | 1.5 |
M8 | 8.2 | 15.4 | 3.2 | 2 | 7.3 | 14.2 | 3.2 | 2.0 |