今回は六角ナットについての雑学です。一般に「ナット」といえば六角ナットを思い浮かべるほどよく知られた締結部品です。現在市販されている六角ナットはJIS B 1181附属書で規定されているものです。 六角ボルトでお話しましたが、ナットについても附属書が適用されています。
ところで六角ナットの厚み、形状により呼び方があることをご存知でしょうか。普通に「六角ナット」といえば当社を含め大多数のねじ屋さんでは「六角ナット1種」と判断することが多いのではと思います。六角ナット1種の特徴はナットの角部の面取り(面取りとは料理の「大根の面取り」と同じで、角を落とすことです)が片面のみになっているところです。
両側を面取りしたものが六角ナット2種と呼びます。厚みは1種と同じです。
さらに両側の面取りを行い、厚みが薄いものを六角ナット3種といいます。ダブルナット(ねじの緩み止めの1手法)で使用するためロックナットと呼んだり、薄型ナットと呼ぶ人もいますが、意味が正確に伝わらないことがあるため、六角ナット3種といってもらった方が確実でしょう。
写真1 各種六角ナット 左から1種、2種、3種 |
六角ナット1種、2種、3種をご存知の方は多いのではと思いますが、六角ナット4種というのが規格にあります。 これは図1(d)のようにナットの座面が段付きになっているものです。これはほとんど市場にないため採用しない方が無難です。
図1 各種六角ナット |
前回の六角ボルトで紹介しましたが、六角ナットも小形六角ナットというのがあります。二面幅が小さくなっています。(表1参照)
ねじの呼び | m 基準寸法(mm) |
m1 基準寸法(mm) |
S 基準寸法(mm) |
小形ナット S基準寸法(mm) |
M3 | 2.4 | 1.8 | 5.5 | – |
M4 | 3.2 | 2.4 | 7 | – |
M5 | 4 | 3.2 | 8 | – |
M6 | 5 | 3.6 | 10 | – |
M8 | 6.5 | 5 | 13 | 12 |
M10 | 8 | 6 | 17 | 14 |
M12 | 10 | 7 | 19 | 17 |
(M14) | 11 | 8 | 22 | 19 |
M16 | 13 | 10 | 24 | 22 |
(M18) | 15 | 11 | 27 | 24 |
M20 | 16 | 12 | 30 | 27 |