六角ナットの規格は、JIS B 1181(以下、本体規格)で規定されていますが、現行で一般に流通している六角ナットはJIS B 1181附属書で規定されているものが大部分を占めています。
JIS B 1181では冒頭で、「我が国における生産・使用の実態を反映するため、ISO規格によらない六角ナットの特性を附属書JA及び附属書JBに示す。」と記述されています。ここでいうISO規格とはISO4032~ISO4036及びISO8673~ISO8675のことです。
手許にある2010年版のJIS B 1181では「附属書は2009年12月31日限りで廃止。」と書かれていますが、最新のJIS(JIS B 1181:2014)によると「この附属書は、将来廃止するので、・・・」、と期限がなくなり、若干トーンダウンしているのが興味深いところです。ちなみに六角ボルトも同様の問題を抱えています。
図3 六角ナット、スタイル1 (JIS B 1181) |
図4 六角ナット 1種 (JIS B 1181附属書) |
ところで、六角ナットの本体規格と附属書規格とのサイズの違いを表3にまとめてみました。同じ呼び径でも二面幅、高さが違う場合があり、スパナサイズが合わない等の問題があります。
ねじ の 呼び |
JIS B 1181 六角ナット,スタイル1 | JIS B 1181(附属書)六角ナット1種 | ||||||
m(高さ) | s(二面幅) | m(高さ) | s(二面幅) | |||||
最大 | 最小 | 最大 | 最小 | 基準 寸法 |
許容差 | 基準 寸法 |
許容差 | |
M5 | 4.7 | 4.4 | 8 | 7.78 | 4 | 0 -0.30 |
8 | 0 -0.2 |
M6 | 5.2 | 4.9 | 10 | 9.78 | 5 | 10 | ||
M8 | 6.8 | 6.44 | 13 | 12.73 | 6.5 | 0 -0.36 |
13 | 0 -0.25 |
M10 | 8.4 | 8.04 | 16 | 15.73 | 8 | 17 | ||
M12 | 10.8 | 10.37 | 18 | 17.73 | 10 | 19 | 0 -0.35 |
また、サイズ以外で強度区分の表記方法が異なります。附属書では強度区分8T、10T等の表記ですが、本体規格では強度区分8、10等のTが付かない表記となります。両者は数字が同じ場合でも保証荷重値が違ってきます。
将来、もし本体規格への移行があった場合にでも、スムーズな移行ができることを願ってやみません。