弊社店頭では、ねじの見本をお持ちいただいて同じものを購入、あるいは製作を希望されるお客様が結構いらっしゃいます。
ねじの規格を特定する場合に、一番確実なのはねじゲージで検査することだと思います。しかしながら、変形や錆が発生しているものは、ねじゲージでは判別できないことがよくありますし、ねじゲージ自体手持ちがない場合もあります。
世の中には、同じようなサイズで規格が違うというねじがあります。例えば表4のようなM10(メートルねじ)とW3/8(ウィット)、あるいはM20とW3/4などはその一例です。
これらのねじの場合にはウィットおねじにメートルめねじをはめることができます。(はめた感じはやはりガタが大きいので慣れた人は間違いに気づくはずです。逆の場合、すなわちメートルおねじにウィットめねじははまりません。)
メートルねじやウィットねじの場合には、ねじの錆、変形等がない場合には、外径、ピッチを既知のねじと比較することで大体の見当がつきます。しかしながら、錆、変形、焼付き等の外径部損傷がある場合には、外径による判断ができない場合があり、ピッチに頼るしかないのですが、表4のようにピッチの値が同じような場合には、判定が難しくなります。
そんな時には、ピッチを既知のねじと比較するために、両者のねじを重ね合わせるのですが、できるだけねじ山が多く重なるようにして凝視すると、ピッチが異なる場合には図1のように少しづつねじ山がずれていくのが分かります。M20とW3/4の場合にはピッチの差が0.04mmですから10山で0.4mmのずれが発生します。0.4mm程度違えば、肉眼でも何とか判別できるのではないでしょうか。
写真1 六角ボルトM20とW3/4 |
メートルおねじ6g | ⇔ | ウィットおねじ | ピッチの差 (mm) |
|||||
呼び | ピッチ (mm) |
外径max (mm) |
呼び | 山数 | ピッチ (mm)※1 |
外径 (mm) |
||
M10 | 1.5 | 9.968 | W3/8 | 16 | 1.5875 | 9.525 | 0.0875 | |
M20 | 2.5 | 19.958 | W3/4 | 10 | 2.5400 | 19.050 | 0.04 |
※1 ウィットの場合には1インチあたりの山数でピッチを規定しますので、ピッチをメートルで表すには、25.4mm÷山数で計算します。
図1 ピッチずれの概念図 |
しかしながら、上記の方法で判別できればよい方で、実際にはねじが伸びていたり、錆びていたり等で判別できないものも多く見受けられます。
さらに、インチねじの仲間である、ウィットとユニファイを判別するのは困難を極めることになりそうです。
以上お話したように、弊社ではお客様のご希望のねじを規格通りに購入いただけるように、努力をしておりますが、どうしても判別できない場合、最終的にはおねじ、めねじをあわせてご購入いただいたり、状況をご説明した上でお客様にご判断いただくことになります。