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ねじの引張強度の表記方法について(第140号)

上記記事で強度区分という用語がでてきましたので、今回は強度区分の表記について簡単に整理をしてみました。
図1は引張試験で試験開始から破断に至るまでの、ひずみと応力(※1)の関係を示すグラフです。
金属に引張方向の応力をかけていったとき、最初は力を取り除くと、もとの長さに戻る弾性変形が生じます。
応力をさらにかけていき比例限度を超えると、応力を取り除いても元の長さに戻らず塑性変形します。そして、上下降伏点を過ぎた後、グラフのように曲線を描き、破断へと向かいます。この曲線上のピーク部を引張強さといいます。合金鋼の場合には図2のように降伏点が現れないため、永久伸びが0.2%である応力を0.2%耐力としています。

図1 引張試験 ひずみ-応力曲線(軟鉄) 図2 引張試験 ひずみ-応力曲線(合金鋼)

さて本題ですが、強度区分12.9の「12」は呼び引張強さの1200(N/mm2※2)を100で割った値を表し、12.9の「9」はこの数字を10で割った値に呼び引張強さ1200を掛けた値1080が0.2%耐力(軟鉄の場合には下降伏点)となります。
前述記事の強度区分14.9の場合には呼び引張強さが1400(N/mm2)、0.2%耐力が1260(N/mm2)となります。
ちなみに1200(N/mm2)はキログラム重に変換すると、122kgf/mm2ですので、1辺が1mmの正方形に122kgfの力がかかっていると考えるとイメージし易いかと思います。

表1 ボルト、ねじ及び埋込みボルトの機械的及び物理的性質(JIS B 1051抜粋)
機械的又は物理的性質 強度区分
4.8 10.9 12.9
呼び引張強さ
Rm,nom(N/mm2)
400 1000 1200
最小引張強さ
Rm,min(N/mm2)
420 1040 1220
下降伏点(呼び)
ReL(N/mm2)
320
0.2%耐力(呼び)
Rp0.2(N/mm2)
900 1080

 

※1 ひずみ:試験片の伸び長さを元の長さで割った値
応力:荷重を断面積で割った値
※2 平方ミリメートルです

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