前記事に記載の自転車用のねじCTV8-32について調べてみました。JISを調査すると自転車用タイヤバルブがJIS D 9422で規定されており、この中の附属書A「自転車用タイヤバルブのねじ」が該当する規格のようです。
JIS D 9422によると、自転車用のバルブには1.英式バルブ(図2、VEM,VER)、2.米式バルブ(図3、VAM,VAR)、3.仏式バルブ(VFM,VFR)があり、CTV8-32は米式バルブのキャップやナットに使われています。
英式バルブと米式バルブに使われているねじ規格は表3の通りです。ねじ山の角度はメートルねじと同じ60度です。
図2 英式バルブVER | 図3 米式バルブVAM |
ねじの呼び | ピッチP (参考) |
めねじ | バルブの種類 | ||
谷の径D | 有効径D2 | 内径D1 | |||
おねじ | |||||
外径d | 有効径d2 | 谷の径d1 | |||
CTV5山36 | 0.7056 | 5.330 | 4.872 | 4.566 | 米式 |
CTV5山24 | 1.0583 | 5.100 | 4.413 | 3.954 | 英式 |
CTV8山32 | 0.7938 | 7.900 | 7.384 | 7.041 | 米式 |
CTV8山30 | 0.8466 | 8.100 | 7.550 | 7.183 | 英式 |
図4 自転車用タイヤバルブ(VER,VEM,VAR,VAM)のねじの基準山形 JIS D 9422附属書A |
表3によるとこの規格は、ピッチを1インチ当たりの山数で表しているので、インチ系のねじだとは思いますが、ねじの径がインチなのかどうかは、不明です。
また、仏式バルブのねじは5V2と6V1という規格(ISO4570だそうです)のねじが使われているようです。
呼び | 径×ピッチ | おねじ | ||||
外径d | 有効径d2 | 谷の径d1 | ||||
最大 | 最小 | 最大 | 最小 | 最大 | ||
5V2 | 5.2×1.058 | 5.220 | 5.040 | 4.705 | 4.555 | 4.200 |
6V1 | 6×0.8 | 6.030 | 5.830 | 5.670 | 5.520 | 5.385 |
呼び | 径×ピッチ | めねじ | ||||
谷の径D | 有効径D2 | 内径D1 | ||||
最小 | 最大 | 最小 | 最大 | 最小 | ||
5V2 | 5.2×1.058 | 5.370 | 4.865 | 4.760 | 4.600 | 4.400 |
6V1 | 6×0.8 | 6.160 | 5.830 | 5.725 | 5.540 | 5.440 |
図5 自転車用タイヤバルブ(VFR,VFM)のバルブねじの基準山形 JIS D 9422附属書A |
余談になりますが、英式バルブは虫ゴムタイプのバルブで、日本で一般的な自転車によく使われています。米式バルブは弁パッキンを用いたもので、より高い圧力に耐えられるため、自動車、バイクや一部のマウンテンバイクで使用されます。仏式バルブは胴パッキンによるもので、軽くて高圧に耐えられるので、ロードバイクなどに使われています。
またバルブの種類でVEM、VER等の「M」と「R」はそれぞれチューブへの接合方式の違いで、「R」はラバーベースバルブ(ゴム座圧着)、「M」はメタルベースバルブ(金属圧接)を表します。