ねじの結合は前回の記事のように、「機械的結合(以下、機械結合)」と「耐密性を目的とする結合(以下、耐密結合)」に分類できます。 耐密結合はJIS B 0203で規定されるテーパねじにより締結する必要があります。平行ねじ同志の結合は機械結合(図2)であるため、通常の締め方では中空内部に流体を通すと、おねじとめねじのはめあい部の隙間から漏れが発生します。
図2 平行ねじの機械結合 |
しかしながら、平行ねじでも、締結部に工夫をすることで耐密構造にすることができます。
平行ねじの結合を耐密構造にする方法としては以下のような方法があります。
図3 平行ねじの耐密構造の一例 |
(a)パッキンの使用(図3(a))
めねじの奥にパッキンを装着して、このパッキンをおねじ先端部で挟み込むと、おねじとめねじの耐密性が確保されます。
(b)Oリングの使用(図3(b))
おねじ座面の溝にOリング(オーリング、通常はゴム製の輪状の部品、写真8)をはめ込み、めねじの端面でOリングを押さえて変形させることで耐密性が確保されます。
写真8 Oリング |
(c)フレア加工(図3(c))
おねじとめねじの耐密構造ではありませんが、内部に流体が通る銅管の接続を行いたい場合には、銅管の端面を専用の工具で45°に広げ(フレア加工)、先端を45°の角度を持たせたおねじとの間で両者をピッタリと接触させ、めねじで締め付けます。これによって銅管とおねじの中空部の耐密性を確保できます。
上記いずれの方法も、パッキン、Oリング、フレアの接触面は滑らかのものでなければならず、傷や凹凸、ゴミがあると気密性が確保できない場合があるので要注意です。
身の回りの用途では、(a)のパッキンは水道の配管関係でよくみられる方法です。配管同志の接合を行うために、ユニオンという配管継手(写真9)がありますが、これも接合部は写真10のようにパッキンを使った(a)の構造です。(c)のフレア加工はエアコンの冷媒配管でよくみられる方法です。
写真9 ユニオン | 写真10 ユニオンの構造 |