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ねじの緩み防止・脱落防止の実例(154号)

様々な機械や鉄道に使われているねじは、緩むと大きな事故に直結する一方で、定期的なメンテナンスのときにはねじを取り外す場合があり、ねじは「緩んでは困るが、必要なときには緩める必要がある」というジレンマを抱えています。
通常、ねじが緩むことにより下記のような問題が起こります。
1.軸力の低下
ねじは軸方向の力(軸力)によって被締結部材を挟み、固定する部品です。ねじが緩んで軸力が低下すると部材の固定が不十分になり、場合によっては部材から受ける力によりねじが破壊されることがあります。
2.ねじの脱落
軸力がなくなり、ねじの緩みが進むと、ねじが脱落し、機械や鉄道車両からねじや部品が吹き飛んで周囲の人や物にあたり大事故につながる恐れがあるため絶対に避けなければなりません。
これらの問題解決のために、緩み防止や脱落防止対策を行った装置を多く見かけます。以下に京都鉄道博物館の展示物にあった鉄道車両の台車を取り上げて実施例をご紹介したいと思います。
写真7はボルトにナットをはめた後、ボルトのねじ部先端にあけた穴に割ピン(写真10)を挿入し、割ピンの先端を曲げて抜けないように施工されています。これにより、ナットはたとえ緩んだとしてもナットの脱落は防止できます。

写真7 脱落防止
(割りピン)

写真8はボルト頭部側面に穴をあけて針金を通し、同じように穴をあけた複数のボルト頭部とを針金で結び、ボルトが緩んで脱落するのを防止します。

写真8 脱落防止
(ワイヤリング)

写真9は溝付き六角ナット(写真11)の溝に位置を合わせてあけた、ボルトのねじ部の穴に割ピンを挿入して、割ピンの先端を折り曲げて固定しています。この方法ですとナットの緩み回転を防止するので、ボルトの軸力が正常に保たれると考えられます(※1)。

写真9 緩み止め
(溝付き六角ナット+割りピン)

 

写真10 割りピン

 

写真11 溝付き六角ナット

ちなみに、上記の緩み止め・脱落防止対策は従来から行われている方式です。最新の台車が同じような対策を取られているのか、新しい方式を採用しているのかについては分かりません。何かの機会があれば調べてみたいと思います。

※1 写真7~9の用途が脱落防止か緩み止めかはあくまでも私見です。

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