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ねじの緩み防止・脱落防止の実例(155号)

前述の記事でステンレス鋼のSUS410を紹介しましたので、今回は頭の整理を兼ねて、ステンレスの種類について簡単にまとめてみました。
ステンレス鋼はCr(クロム)が12%以上含まれた鉄鋼材料のことで、鉄が酸素に触れる前に、クロムが酸素と結合して、酸化クロムの不動態被膜を作り、鉄が錆びるのを防止します。
代表的なステンレス鋼の種類は表3のように、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系があります。これらの特徴は下記の通りです。

表3 主なステンレスの分類と代表的な鋼種
種類 JIS記号 クロム
Cr(%)
ニッケル
Ni(%)
炭素
C(%)
使用例
オーステナイト系 SUS304 18~20 8~10.5 ~0.08 写真6
フェライト系 SUS430 16~18 ~0.12 写真7
マルテンサイト系 SUS410 11.5~13 ~0.15 写真8
SUS420J2 12~14 0.26~0.40 写真9

〇オーステナイト系(例.SUS304,Cr:18%,Ni:8%)
ニッケルを8%加えることで、耐食性が向上する。また、ねばり強くなり、プレス加工性がよい一方で、切削加工はしにくい。

写真6 C形止め輪軸用(SUS304CSP)

〇フェライト系(例.SUS430,Cr:18%)
クロムを18%加えたもので、耐食性はマルテンサイト系に比べて優れているが、オーステナイト系に比べ劣る。価格はオーステナイト系に比べ安価。

写真7 キャップスクリュー
(SUS430)

〇マルテンサイト系(例.SUS410,Cr:13%)
炭素を多くすることで、焼き入れ・焼き戻しにより耐摩耗性が向上する。耐食性は上記2種よりも劣る。

写真8 ピアスPAN
(SUS410)

 

写真9 波形ロールピン(SUS420J2)

ちなみに、ステンレス鋼のなかで、フェライト系とマルテンサイト系は磁石に付く性質があります。また、一般に磁石に付かないと思われているオーステナイト系も、冷間加工等を行うと部分的に磁石に付く場合があります。

 

※参考文献
JIS鉄鋼材料入門 大和久重雄 著 大河出版

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