最新情報

☆☆☆最新のねじ情報誌「やまりん新聞」は弊社ショッピングサイトからダウンロードできます。☆☆☆

平行ピンのJIS規格変遷について(159号)

平行ピン(写真5)は図1のように部材1と部材2をボルトで固定する際に、部材同士を正確に位置決めしたいときに使用されます。図1でボルト軸部とボルト穴の隙間があるために、平行ピンがない場合には、部材1と部材2の取付けにズレが生じます。こんなときに両部材の正確な位置に平行ピン用の穴をあけ、平行ピンを挿入することで、位置決めが正確にできます。

写真5 平行ピン

 

図1 平行ピンによる位置決め

平行ピンは、表1のように、外径が呼び径に対して、プラス目(m6)と、マイナス目(h7、h8 ※1)があります。

表1 公差(公差域)クラス(※2)と寸法許容差 JIS B 0401-2:2016 [mm]
呼び径 3 4 5 6 8 10
寸法許容差 m6 +0.008
+0.002
+0.012
+0.004
+0.015
+0.006
h7 0
-0.010
0
-0.012
0
-0.015
h8 0
-0.014
0
-0.018
0
-0.022

一般的に、m6のピンは、ピン穴に打ち込んで挿入するのに対して、h7(h8)のピンはピン穴にスムーズに抜き差しできます。
平行ピンの規格は、当初、JIS B 1354:1975が規定され、その後、JIS B 1354:1988に改正され、しばらくはこの規格でしたが、最近、JISを調べると、JIS B 1354:2012に新しく改正されていることが分かりました。
現在、市場での流通ではJIS B 1354:1975の平行ピンは、一部サイズでまだ入手可能な標準品があるようです。JIS B 1354:1988は、最も入手性がよい規格で、弊社の在庫はこの規格です。最新の規格JIS B 1354:2012はまだ市場には出回っていないようです。
さて、それぞれの平行ピンの規格で、特徴を説明したいと思います。
〇JIS B 1354:1975(図2)
A形とB形があり、A形は両端を面取りした形状で、B形は両端にアール(丸先)を付けた形状です。ピンの呼び長さは、面取り部、あるいは、アール部を除いた肩から肩(「肩-肩」)の長さで指定します。従ってサイズ表記と全長が異なるので注意が必要です。
形状はA形とB形の両者に対して、m6とh7の寸法許容差がありますので、合計で4種類が存在することになります。

図2 平行ピンJIS B 1354:1975規格

〇JIS B 1354:1988(図3)
A種、B種、C種(今回は説明省略)があります。A種は一方の端面が面取りで、他方にアールが付いています。B種は両端共に面取りされています。ピンの呼び長さはA種、B種ともに「全長」で指定します。外径はA種の公差クラスがm6で、B種の公差クラスがh8(※1)となります。

図3 平行ピンJIS B 1354:1988規格

〇JIS B 1354:2012(図4)

形状は両端が面取りのみです。公差クラスはm6とh8です。呼び長さは「全長」で指定します。

図4 平行ピンJIS B 1354:2012規格

 

※1 表1のように、h7はh8の許容差内にある。h8は市販されていないと思われるので、h8を選択したいときは、市販されているh7を選択すればよい。
※2 以前は公差域クラスという記述だったが、最新のJISを見ると公差クラスという記述に変更されている。

PAGE TOP