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ねじの引張強さと有効断面積について(165号)

ねじの強度区分の数字の意味をおさらいしたいと思います。例えば、強度区分8.8の1文字目の8は、100を掛けた値の800が呼び引張強さとなります。ドットの次の8は、10で割った値に呼び引張強さ800(N/mm^2)を掛けた値の640が0.2%耐力(呼び)となります(表3参照)。
引張強さはこれ以上荷重を掛けると破断する限界値で、降伏点はこれ以下であれば、荷重を取り除いたときに変形が元に戻る値です。(※1)

表3 ボルト、ねじ及び埋込みボルトの機械的及び物理的性質(JIS B 1051抜粋)  (N/mm^2)
機械的又は物理的性質 強度区分
4.8 8.8 10.9 12.9
d≦16mm d>16
mm
呼び引張強さRm,nom 400 800 800 1000 1200
最小引張強さRm,min 420 800 830 1040 1220
下降伏点(呼び)ReL 320
下降伏点(最小)ReL 340
0.2%耐力(呼び)Rp0.2 640 640 900 1080
0.2%耐力(最小)Rp0.2 640 660 940 1100

 

ちなみに表3の引張強さや耐力は、単位面積当たりの力ですので、荷重を知りたい場合にはこの値にねじの断面積を掛ける必要があります。JIS B 1082ではねじの有効断面積の算出式を式1のように規定しています。

As,nom=(π/4){(d2+d3)/2}^2 …(式1※2)

式1に各値を代入した結果が表4の有効断面積As,nomです。表3の最小引張強さに、表4の有効断面積を掛けると表5のようになり、前述記事の表1とほぼ一致します。

図2 メートル並目ねじの基準寸法(JIS B 0205-4抜粋、d3はJIS B 0209-1を抜粋)

 

表4 メートル並目ねじの有効断面積(mm^2)
(JIS B 1082抜粋、d1,d2,HはJIS B 0205抜粋)
ねじの呼び ピッチ
(mm)
d1
(mm)
d2
(mm)
d3
(mm)
H
(mm)
有効断面積
As,nom
M8 1.25 6.647 7.188 6.467 1.082532 36.6
M10 1.5 8.376 9.026 8.159 1.299038 58.0
M12 1.75 10.106 10.863 9.853 1.515544 84.3

 

表5 強度区分4.8と8.8の最小引張荷重の比較(単位:N)
ねじの呼び 4.8 8.8
M8 15400 29300
M10 24300 46400
M12 35400 67400

 

※1 第140号を参照願います。
※2
d2:おねじ有効径の基準寸法(mm)、d3:おねじ谷の径(mm)
d3はおねじ谷の径の基準寸法d1からとがり山の高さH(表4参照)の1/6を減じた値で、d3=d1-H/6となる。
式1の意味を解釈すると、d2とd3の平均値が(d2+d3)/2で、半径はこれを2で割って(d2+d3)/4…(式2)となり、
円の面積の公式が、円周率π×半径×半径ですから、
この半径に式2を代入すると式1になります。従って、式1はおねじの谷の径と有効径基準寸法との平均値を直径とする面積であることが分かります。

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