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ねじの使われ方~自転車編2~(第27号)

前回、自転車に使われているねじを例にあげ、ねじを締める際にはトルク管理をして締付け力を適正に管理する必要があることをお話しました。
今回は、どうすれば更に適正なねじの締付け力が得られるのかをお話したいと思います。
ねじによる締結とはおねじの山とめねじの谷の接触する部分の摩擦抵抗により、緩もうとする力を阻止することで得られます。この摩擦抵抗を生み出す力がおねじの軸方向の引張力である締結軸力(以下軸力)なのです。
従って、適正な締付け力とは適正な軸力を管理することになるわけです。一般的にねじは軸力を測定することができませんのでその代わりとして締付けトルクを測定するわけです。
ところで締付けトルクを100とした場合、その何%が軸力になるかといいますと、図1のようなデータがあります。 すなわちボルト、ナットの座面やねじ山の摩擦抵抗に80%程度吸収され残り8~18%程度しか軸力として伝わらないということです。従って摩擦抵抗のばらつきが大きいと軸力はそれに埋もれてしまい管理することができなくなります。

図1 締付けトルクと締結軸力の関係
(ノルトロック様資料より)

そのため、いかに摩擦抵抗のばらつきを無くすかが重要となります。
そのためにねじ部表面の錆、汚れを除去することは当然のことですが、潤滑油(グリス)やねじ用の潤滑剤をねじ山に塗布するという方法がよく使われています。
ねじ緩みの原因ではさらに初期締付けの後、締結部材座面の陥没やボルト、ナットの接触部分のなじみ、経年変化で変形等による軸力低下があげられますので、一定期間後の増し締めも重要です。
先日来店されたお客様からの質問で「ボトムブラケット(写真1)のねじがよく緩みますがなにかよい対処方法はないですか」という質問を頂きました。ねじ締結している部分が振動、外力を受ける場合、そのねじは緩む可能性が大です。ただ上記のような方法で緩みにくくすることはできるかと思います。

写真1 ボトムブラケット(左)と拡大写真(右)

自転車においてもステム(写真2)取り付け部分や前後タイヤ固定部分のクイックリリースレバー(写真3)部分などねじ締結している安全上重要な部分がたくさんあります。私も月に1度はそういった部分に緩みが無いか点検しています。

 
写真2 ステム 写真3 クイックリリースレバー

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