ねじは使い方を誤ると破壊に至り、思わぬ事故となります。今回はそんな問題について考えていきたいと思います。
ねじの破壊の中で最も多いのが、疲労による破壊であると言われています。これは締付け後にねじが変動荷重を受けるうちに表面の一部に微細な亀裂が発生し、この亀裂が徐々に進行して行き、全荷重に耐え切れなくなって破断してしまうというものです。
疲労による破壊では、おねじとめねじがはめあっている第1ねじ山に最も応力が集中するため、この部分での破壊が多いといわれます。
疲労破壊が起こる状況と対策について考えると以下のような事があげられます。
1.適正締付け力での締付け
特に六角穴付ボルトなどの高強度のボルトは適正な締付けを行わないと、破壊事故につながります。ねじの締付け力が低いと疲労破壊を起こしやすくなります。
2.細い径のボルトを沢山使用する。
同じ荷重なら太いボルトを少ない本数使うより、細いボルトを多く使うほうが有利です。
一般に径の細い方が同一強度区分であれば疲労強さが高いと言われているからです。
3.細目ねじを使用する。
同じ呼び径であれば、細目ねじの方が有効断面積が大きい分だけ有利です。
4.熱処理後転造したボルトの使用
熱処理後転造する事によりねじの谷部に発生した圧縮残留応力が疲労強さの向上に効果があるからです。但し、熱処理後転造はねじ転造工具の寿命が極端に低下する為、コストを考慮すると強度区分は10.9以下になります。
5.おねじとめねじのはめ合い長さを長くする
おねじとめねじの、はめあい長さを長くすることで荷重の分担が多少は分配され、第一ねじ山の応力集中が軽減されます。
さらに日常のチェックでは、以下のことが重要です。
1.増し締め(再締付け)の実施
2.定期的な目視やハンマ等による打撃チェックの実施
昨今ねじのトラブルで大事故につながったケースが報道されていますが、設計段階、日常の検査で事故を未然に防ぐことが重要です。
もし、ねじでお困りなことがあれば山崎までぜひ相談してください。なにかヒントになる事柄をお答えできると思います。
(アルプス精工殿資料一部抜粋)