前回号で、サンコータイトやタップタイト(以下代表して、サンコータイト)という名称のねじが紹介されました。これらはねじ込むことによる塑性変形でめねじを成形するセルフタッピンねじ(スレッドローリングスクリュー)の一種です。胴部の断面がおにぎり(三角)形状をしているのが特徴です(図1,2,3参照)。
断面が円形のタッピンねじは素材との接触面積が大きいため、ねじ込みトルクが大きくなりますが、サンコータイトの場合には、三角形の頂点部が相手材を広げてねじを成形するので、小さいねじ込みトルクで締結できます。
サンコータイトにはSタイプ、Cタイプ、Bタイプ(金属用)と、Pタイプ(樹脂用)があります。
写真7 サンコータイトSタイプ | 写真8 サンコータイトCタイプ | 写真9 サンコータイトBタイプ | 写真10 サンコータイトPタイプ |
図1 サンコータイトSタイプ,Cタイプ図面 |
図2 サンコータイトBタイプ図面 |
図3 サンコータイトPタイプ図面 |
Pタイプは、ピッチが粗く、さらに2条ねじとなっています。Bタイプもピッチが粗いですが、1条ねじで、タッピンねじ2種(JIS B 1122附属書)と同じピッチとなります。
SタイプとCタイプはメートル並目ねじのピッチと同じで、さらに、Cタイプは表1のように、メートル並目ねじ(表3)の外径とほぼ同じサイズのため、メートル並目ねじのナットを挿入することができます。また、Sタイプは表2のように、Cタイプの外径より少し大きいため、Sタイプを挿入後に抜き取ったねじ穴にメートルねじをはめることができます。
ねじの呼び | ピッチ | ねじ径 | |||
C | D | ||||
最大 | 最小 | 最大 | 最小 | ||
3 | 0.5 | 2.97 | 2.86 | 2.87 | 2.76 |
4 | 0.7 | 3.96 | 3.83 | 3.82 | 3.69 |
ねじの呼び | ピッチ | ねじ径 | |||
C | D | ||||
最大 | 最小 | 最大 | 最小 | ||
3 | 0.5 | 3.04 | 2.96 | 2.94 | 2.86 |
4 | 0.7 | 4.06 | 3.98 | 3.92 | 3.84 |
ねじの呼び | ピッチ | ねじ径 | |
外径d | |||
最大 | 最小 | ||
3 | 0.5 | 2.980 | 2.874 |
4 | 0.7 | 3.978 | 3.838 |
ちなみに、ねじ山の頂点をつる巻線とすると、1条ねじは、図4のように、つる巻線が1本で、2条ねじは図5のように、つる巻線が2本のねじです。同じ呼び径とピッチで比較すると、2条ねじの場合は1回転すると、1条ねじの2倍の距離だけ多く進み、締結作業の効率がよいねじと言えます。
図4、5において、Pはピッチといい、隣り合うねじ山間の距離のことです。Lはリードといい、ねじが1回転したときに進む距離のことです。1条ねじはL=P、2条ねじはL=2Pの関係があります。
図4 1条ねじ | 図5 2条ねじ |