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左ねじ用のばね座金について(162号)

ねじの巻き方向による分類で、右ねじと左ねじがあります。右ねじは、右方向(時計回り)に回すと締まるねじで、左ねじは、左方向(反時計回り)に回すと締まるねじです。
一般に普及しているねじは右ねじですが、左ねじは、日常生活では、扇風機の羽根をモータシャフトに取り付けているねじで見ることができます。もし右ねじを使用すると、右回転する回転軸が起動・停止を繰り返すと、軸を固定するナットに緩む方向の力が掛かかり、ねじが緩んでしまうため、これを防ぐために左ねじを使用します。
回転軸の緩み止め以外には、ワイヤや筋交い等の張力を調整するターンバックル(写真6)に、左ねじが使われています。ターンバックルは、本体の両側にめねじが付いており、めねじにおねじがはめられた構造となっています。そしておねじの両側にワイヤ等を接続して、ターンバックルの本体を回転させると、その方向(写真6の①②)によって、ワイヤを締めたり、緩めたりできます。このため、一方のねじは右ねじで、もう一方は左ねじが必要です。ちなみに、両方が右ねじ(あるいは両方が左ねじ)の場合は本体を回転させても、本体が左右に移動するだけで、ワイヤを締めたり、緩めたりはできません。

写真6 鉄骨の筋交いに使用されるターンバックル

さて、右ねじと左ねじのボルトの画像がそれぞれ写真7と写真8です。ねじ山を見ると分かりますが、右ねじはねじの開始点から左方向にねじ山がねじれていますので、右回転させるとねじが進んでいきます。

写真7 右ねじボルトのねじ部 写真8 左ねじボルトのねじ部

一方、左ねじは、ねじの開始点から右方向にねじ山がねじれていますので、ねじを左回転させるとねじが進んでいきます。
普段は右ねじを見る機会が多いため、左ねじを見ると、ねじ山の傾きに違和感があり、割とすぐに、右ねじと左ねじの区別を付けることができます。

ところで、ばね座金(スプリングワッシャー)という緩み止め用の座金があります。ばね座金は図1のように、リングの開口部が上下にひねられた形状で、ばねの働きを持ちます。さらに開口部の断面は斜めにカットされ鋭角のエッジになっています。ばね座金は、ボルトに通して締めたときに、ばねの力でボルトの座面を押す力が働きます。この状態で、図3のように、ボルトに緩み方向の回転力が加わると、ばね座金のエッジが座面と相手材に食い込んで緩み止め効果を発揮するというものです。
このしくみから推測できるように、ばね座金にも右ねじ用と左ねじ用があります。

図1 右ねじ用ばね座金

 

図2 左ねじ用ばね座金

左ねじ用のばね座金は図2のように右ねじ用とは逆のひねり方をしており、エッジの方向が右ねじとは逆になります。
左ねじに右ねじ用のばね座金を使うと、ボルトを締め付けるときに、ばね座金のエッジがボルトの座面に食い込んで、緩み止め効果どころか、ボルトの締結もうまくできない可能性がありますので、左ねじには左ねじ用のばね座金を、右ねじには右ねじ用のばね座金をそれぞれ使用する必要があります。

図3 右ねじ用ばね座金の緩み止め効果

一般のねじ類で左ねじの市販品を調べたところ、おねじでは、六角ボルト、六角穴付きボルト、小ねじ(なべ、皿、トラス)、寸切り等が市販されています。めねじでは六角ナット、袋ナット、Uナット等が市販されています。詳細はお問い合わせください。

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